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ネック調整のこと

フレンチ分数ヴァイオリンJerome Thibouville Lamy(1800年代後半~1900年代初頭)の調整。

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 写真で測っている部分をストップレングス、イタリア語ではディアパソンと言います。このディアパソンとネックの長さ、そして振動弦長(上ナットから駒までの弦長)は演奏する上で非常に重要です。
 現代の寸法では、ネックの長さ(表板の端~上ナット)とデイアパソンの比率は2:3に設定されています。

 ヴァイオリンの形に明確な「正解」はありませんが、寸法は統一されています。この寸法がズレていると、音を奏でる道具としての機能が果たせなくなってしまいます。

 さて、計算したところ、このヴァイオリンはネックの長さが5mmほど長いようです。たった5mmと感じるかもしれませんが、ヴァイオリンにおいて5mmは大罪。このまま演奏するとポジション移動がうまく出来ず、おかしな癖がついてしまうことがあります。
今回は一度ネックを抜いて入れ直します。

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討ち取ったり!!

 この楽器のように接着剤に膠が使われていれば、しかるべき手順できれいに抜くことができますが、稀に(いや案外稀でもないかも…)、膠以外の接着剤が使われていることがあります。そうなるとフジイのご機嫌は途端に悪くなりながら、イライラしちゃダメよ、平常心♪という気持ちとの狭間でよくわからないテンションになります。

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 ネックを5mm短くすることが今回の目的ですが、ではどこを削っていくか。この判断を誤ると大変なことになります。
 単純にネックを5mm切断するだけで済むなら単純ですが残念ながらそうはいきません。今回は、ネックを2.5mm切断し、指板を1mm下へずらす。そして、本体に1.5mm深く差し込むことにしました。

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 本体とネックに材を継ぎ足します。継ぎ材には、元の楽器となるべく同じような木材を使うことがポイントです。
 弦楽器職人がどんな小さな端材でも捨てずに取っておくのはこのためです。

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 ネック入れです。ネックの長さ、上下左右の位置と角度をバキッと決めます。ポイントはとにかく落ち着いてやること。そして刃物をこまめに研ぐことでしょうか。
 弦楽器製作初心者にとって、この作業は非常に高い壁になりますが、慣れてくると逆にこんなに簡単な作業はないかもしれません。芸術性やセンスが問われるというわけでもなく、目指した寸法通りに刃物をコントロールすれば終わる作業です。

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 ネックを入れたら形を整えてニスを修復していきます。どんな修理もだいたい最後はリタッチで終わります。

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 完成です。今回のように入荷した段階で寸法がずれていることは珍しいことではありません。
 現代のような寸法が重要視され始めたのは実は割と最近の話なので、古い楽器は特に現代のものと大きく寸法が異なることが多いです。


posted by 藤井大樹
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