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ストラディヴァリ

こんな興味深い記事をみつけました。↓

ストラディバリウスと現代のバイオリンを目隠しで演奏した結果の「両者に大差なし」という結論は本当か?

高校を卒業してすぐにクレモナに渡り、数々の名器、製作者、演奏家の方々と触れ合う機会を頂きましたが、ヴァイオリンを知れば知るほど、現代の「ストラディヴァリ信仰」に疑問を持つようになりました。

そもそも、ストラディヴァリの時代のヴァイオリンは所謂「バロックヴァイオリン」と呼ばれるものでした。
現在使われている「モダンヴァイオリン」とは構造から大きく異なっていたのです。

一部の例外を無視してざっくりと違いを並べると・・・

・弦はガット(羊の腸)
・ネックは本体に釘で固定
・指板の素材は主にメープル(モダンは黒檀)
・指板の長さ
・ネックの太さ
などなど、他にも様々な違いがあります。

さて、時代が進むに連れ、音楽も変化をしていきます。
それまでの室内楽から、演奏する会場も大きくなっていき、ヴァイオリンコンチェルトでは、大きな音量を持つ金管楽器を交えたオーケストラに対抗できる音量が求められました。

そこで、弦はガットからスチールに、ネックは継ぎネックにより太さが変わり、より強く固定するために本体に角度をつけて埋め込まれるようになります。
スチール弦に耐えるために指板の素材は硬い黒檀に替えられ、ハイポジションを弾くために長さも長くなりました。
表板の内側に取り付けられているバスバーも交換されました。
これらの変化は大体1800年代初頭に起きたのですが、それ以前に作られたほぼ全ての楽器には上記のような改造が施されているのです。

つまり、現存するストラディヴァリの楽器はほぼ全て、一度バラバラにされ、パーツを変えられ、作られた頃とはまるで別の楽器に作り変えられたと言っても過言ではないのです。

ストラディヴァリは、果たして、そこまでの変化を予見して楽器を作ったというのでしょうか?

ストラディヴァリの楽器は間違いなく良いものでしょう。作りは非常にきれいです。1600年代にこのような楽器を作っていた巨匠に思いを馳せ尊敬をしていますが、それ故に、現在の、やたらとオールドの楽器を神秘的な言葉で飾り立て、ストラディヴァリという言葉を利用して値段を吊り上げる風潮は残念に感じます。

私は、ストラディヴァリは弦楽器製作者のゴールではなく、通過点と考えています。
良い楽器を目指すうえでストラディヴァリの研究をすることは大切ですが、ストラディヴァリこそ本物だと思考停止するのはナンセンスです。
ストラディヴァリを目指すのではなく、ストラディヴァリが目指したものを想像して楽器を作る。
その時代と環境にに合った楽器を常に考え続けることが大切ですね。




posted by 藤井大樹

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