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膠のこと

なぜ300年以上前のヴァイオリンが、未だに現役の楽器として、つまりは音を奏でる道具として機能することができているのか。
その大きな要因は、ヴァイオリンが木でできていること、表裏板にアーチがついていること、そして接着剤として膠(ニカワ)が使われているということです。

膠とは、動物由来のゼラチンを主成分とする接着剤のことで、5000年以上も昔から様々な分野で使用されてきました。
日本でも飛鳥時代あたりに中国から伝わったといわれています。接着剤の他に、製墨原料、織布の仕上げ剤、医薬品などの材料として普及したそうです。

接着剤としての膠の大きな特徴は、接着の際、接着面に接着剤の層を作らず接着ができる(もちろん、しかるべき精度は必要ですが・・・)。そして、熱を加えることで綺麗に剥離、除去できるということです。
つまり、修理をしていく上でとても好都合ということ。
これこそが、楽器として永く弾き継がれてくることができた最大の理由といえるでしょう。

実際、安物の楽器や、手を抜いて作られた楽器には、膠以外の、科学的な何かで作られた接着剤が使われていることが少なくないのですが、非常に厄介です。結果として、予期せぬ箇所に予期せぬ大ダメージを与えてしまうケースをいくつも見てきました。
そんな楽器の修理に当たってしまった日には、フジイは一日恨み節を呟きながら作業をすることになり、可哀想な弟子は隣でイライラとその相手をさせられる破目になります。だめだめ、常に、平常心・・・。

さて、その膠ですが、鹿、牛、兎、魚などなど実に沢山の種類が出回っています。

当然それぞれに特徴があり、用途によって使い分けることもあります。
未だに新しい情報を聞くと試さずにはいられないです・・・。
強力に接着できればそれで良い、というわけでもないところがヴァイオリン作りの深いところ。
場所によっては、むしろちょっと弱い方が良いという場合もあります。
また、修理と製作では使う膠を変えることもしばしば・・・。

とりとめがなくなってしまうのでこの辺で今日はやめておきましょう(笑)
次回は膠の使い方と濃さについて、いつか、書きます。




posted by 藤井大樹
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